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b)福山港みゆき地区浮防波堤4)
広島県が昭和60年に完成したもので、福山市靹町の瀬戸内海国立公園特別地区内に設置された。靹町は古来潮待ちの港として栄え、また風光明眉な地であるので、視界を遮らないよう護岸天端が低く抑えられている。そのため、台風等の波浪時には越流による浸水が絶えず、離岸堤の設置が望まれていた。構造様式を検討した緒果、水深、地盤条件、視界などを勘案して、浮防波堤が採用された。浮防波堤は全長275mで、L70m×B10m×D3.0m-d2.0mのもの2基、L60m×B10m×D3.0m-d(喫水)2.0mのもの2基の計4基からなる。耐用年数は30年で設計波は、SSW(南南西)、有義波高H1/3、=1.5m、有義波周期T1/3=5.6sである。実験によって得られた消波率は0.25である。係留はチェーンとコンクリート・シンカーでなされる。鉄骨PC構造で、鉄筋のかぶりは海水に接する側で7.0cm、海水に接しない側で5.0cm、PC鋼材では10cmである。使用したセメントは普通ポルトランドセメントで、コンクリートの設計基準強度は350?sf/cm2、スランプ12cm、粗骨材の最大寸法は20mmである。写真-3.1.3は浮防波堤の全景である。

 

c)観音マリーナ浮防波堤
広島市観音地区に建設された観音マリーナには、SCハイブリッド製の浮防波堤が5基設置されている。このマリーナは1994年のアジア大会のヨットレース会場として使用された。函体はL97.8m×B20.0mxD3.5m-d2.0mのもの3基、L70.8m×B21.0m×D3.5m-d2.0mのもの2基の計5基である。この浮防波堤は合成構造で、8mmの鋼殻の外側にスタットジベル打込み、鉄筋を補強してコンクリートを打設する。係留は鋼製ジャケット式ドルフィンと浮体側に取り付けられたゴム防舷材による。写頁-3.1.4は観音マリーナの全景である。

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d)運輸省第四港湾建設局の実験堤5)
熊本港は白川河口に位置し、軟弱地盤が40m以上も堆積する。また、潮位差が4.5mである。このため浮防波堤の設置が検討された。実験堤はL40m×B10m×D4.0m-d3.0mであるが、全長を4分割し陸上で製作し、これらを進水させ洋上接合した。これは、将来の大型浮体構造物の建設を想定して、洋上接合技術の開発を狙ったものである。そのため、マッチキャスト方式で製作した。すなわち、第1函製作後これを型枠として第2函のコンクリートを打設した。昭和57年から1年5ケ月の間実証実験を行い、その後長崎県口の津港

 

 

 

 

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